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07年を、どのような転換の年として展望するか

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□07年を、どのような転換の年として展望するか
 「がんばろう、日本!」国民協議会06年望年会での
  主催者あいさつ より
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今年の教訓を「忘」れず、新しい年を大いに「展」望する―恒例の「がんばろう、日
本!」国民協議会、望年会は今年も盛会裏に開催されました。まずは心から御礼申し
上げます。

主催者あいさつで戸田代表から、来年の展望―いかなる転換の年なのかが提起されま
した。以下はその内容です。「転換の性格」を述べたものなので、数字などの厳密さ
についてはご容赦を。
よりくわしくは、「日本再生」新年号で!

□07年を、どのような転換の年として展望するか□
戸田代表 主催者あいさつ
06年 望年会(06年12月7日)

 来年は、どういった時代的な転換の年になるか。このことをイメージ的に言いま
す。

【脱「2001年体制」への移行が本格的に始まる】

 まずひとつは、いわゆる「2001年体制」から脱「2001年体制」への移行が本格的に
始まるということです。「2001年体制」というのは、国際政治において9.11テロ以降
の流れを推進してきたもので、米・ブッシュ政権、英・ブレア政権、日本では小泉政
権といったところです。
 この脱「2001年体制」への移行が鮮明になったのが、十一月の米中間選挙です。上
下両院とも民主党が過半数を制し、さらには知事選でも逆転しました。有権者の判断
のポイントは明確で、イラク戦争に代表されるブッシュ政権の外交に対する懸念で
す。背景には、グローバル経済における二極化の進行ということがあります。
 ここでアメリカ民主主義の力が発揮されました。中間選挙の結果をうけてただち
に、イラク研究チームが報告書を発表しました。二元代表制ですから、大統領とは別
に、議会として超党派の調査委員会をつくって政策提言をするわけです。今年の三月
から準備されてきたものですが、選挙結果という「天の声」を受けて発表しました。
内容は、軍事力・単独行動主義から外交・多国間主義へ、というもの(政策転換)で
す。
ブッシュ政権がこれをどこまで受け入れるか、微調整の枠で終わるか、大きく転換す
るかは分りません。しかしいずれにしろ、政策転換の方向ははっきりしましたし、次
期大統領が民主・共和どちらになるにせよ、この政策転換が引き継がれるわけです。

 このように、2001年体制の転換をめぐる攻防―その結果をうけて来年を迎える、と
いうことになるわけです。つまりこの一年あまりは、2001年体制からどのように転換
するかをめぐる駆け引き、攻防であったということ、こういう性格で見ていかなけれ
ばならないということです。
 ブッシュ・ブレアというのは2001年体制を推進する同盟関係でしたが、ブッシュ政
権の残り二年間は、民主党・議会に大きく制約されることになりました。ブレアはす
でに退陣を決めています。イタリア、スペインではイラク戦争に参加した政権が選挙
で交代しましたし、アジアではタイのタクシン政権も倒れました。このようにここ一
年あまりは、反グローバリズムなども含めて、2001年体制からどう転換するかをめぐ
る攻防であったわけです。

 当然昨年の総選挙も、こうした世界的な流れのなかの一コマであったということで
す。これを「郵政」だけで見ているのとでは、見える光景がまったく違ってきます。
2001年体制からどのように転換するか。この問題設定からすれば、軍事力・単独行動
主義に替わる外交政策のオプションはどういうものか、あるいはグローバリゼーショ
ンの下での二極化にどう対応するか、どのように社会的再分配を提起するのか―こう
いう政策意識がでてきます。これがあった場合の、昨年総選挙への対応・総括と、そ
れがなかった場合とでは、まったく違ってきます。
まずこのことを頭においてください。「脱・2001年体制」と演説で言ったからといっ
て、票はでませんよ。しかしこうした時代の転換を意識しているのと、まったく意識
していないのとでは、全然見ている風景が違います。

【グローバル市場・グローバル経済を前提にした問題設定】

 二点目。ここには、世界経済のステージが様変わりした、ということが関係しま
す。この間は、かつてない世界同時好況でした。日本が落ち込んで中国が儲けた、と
いうことではないんです。グローバル市場が出現する以前にはなかったことです。こ
のなかでアメリカの消費によって中国が成長し、そのおかげで日本の輸出が伸び、そ
の日中がドルを買い支えるという、言ってみれば日米中が経済において「一蓮托生」
の構造になっている。
このような世界同時好況を、世界同時不況にしないためのリスクマネジメント、政策
はもはや一国ではできません。こういうかつてないステージにはいっている。

 この状況を否定的に見る必要はありません。例えば「格差是正」という問題は、ア
メリカも日本も中国も共有できます。いま問題になっている「格差」は、一国内の失
政や搾取ということに起因しているわけではありませんから。中国でも胡錦涛政権は
格差是正を「和諧社会」と言います。
 つまり経済政策や社会政策における認識や問題設定が、国境を超えて共通するよう
になり、国境を超えて新しい切り口や別の問題提起をするようになってきます。統治
の意味が変わってきます。

 そこから小泉―竹中改革の「功」と「罪」を仕分けし、評価しなければなりませ
ん。そのことが見えずに、「格差反対」とか、一連の知事の談合から「腐敗反対」と
いうようでは、ミニ政党でも政党たりえないというレベルまで政治文化が成熟しなけ
ればならないのです。

 小泉―竹中改革を評価するときに、まずはっきりさせなければならないのは、田中
政治では公共的な観点からの政策立案・決定・実施はなされていなかった、というこ
とです。全て政官業の癒着です。橋本行革のところからようやく日本で初めて、公共
選択という観点からの政策立案・決定が行われるようになった。政策過程が大きく変
わったのです。その象徴が経済財政諮問会議だったのです。
 安倍政権は安全保障にも、そういうシステムを持ち込もうとしているわけです。今
の体制でできるかどうか、それは別の問題です。しかし、少なくとも政権をねらう野
党であるならば、そのくらいのリアル感は持つべきです。それが見えずに小泉政権の
経済政策がいいじゃ、悪いじゃと言えますか。田中政治―依存と分配を変えるという
なら、その政策過程を変える戦いのリアリズムがなくてどうしますか? ここで小泉
―竹中改革を評価した上で、経済政策の問題点を論じるということでないと、「格差
反対」一般に流れます。これでは困るんです。

 小泉改革は、政官業の癒着を断ち切ることには一定程度成功したんです。例えば国
鉄の民営化、NTTの民営化を知っていれば分ります。国鉄の民営化は、族議員を断
ち切ったことにポイントがあります。NTTもそうです。新幹線が典型ですが、政治
の介入を排除して、市場原理に基づいて判断できるようになった。ここがポイントで
す。国鉄と私鉄が同じ路線で競合するということではありませんから。
そのアナロジーでいけば、道路とか財投、特殊法人のところでの族議員や補助金垂れ
流しには一定程度メスが入った。公共事業費は橋本改革から減りつづけ、今ではGD
Pの5パーセントを切りました。それでも先進諸国のなかではまだ多いが、バラマキ
の蛇口はそこまでは閉めたのです。
 だから、大手中堅の製造業のところでは、政治の口利きに頼らずに稼ぐということ
に、基本的にはなった。ところで、こういうところに企業の社会的責任ということを
叩き込まなければ、自分らで儲けたんだから勝手じゃないか、ということになります
ね。あるいは偽装請負や粉飾決算など、いろいろな「偽装」「粉飾」が問題になりま
した。そういう教育がされていれば、ヒルズ族の問題もあそこまでにはならなかった
んじゃないでしょうか。

【政策転換の視点―成熟型経済社会、社会的市場のリアリズム】

政策転換の視点をごく簡単に提起します。
ひとつ。企業会計は黒字・家計は赤字です。敵性の関係になっている。これを変える
政策転換が必要です。他国と比べて低い労働分配率や、異常な低金利という問題も含
まれます。より根本的には輸出主導型・発展途上型の経済社会から、内需主導型・成
熟社会型の経済社会への転換です。
二点目。サービス産業の問題です。日本でもここが就労人口の39パーセント、他の先
進国では40から45パーセント。日本はここが低賃金、不安定雇用です。これをちゃん
とした産業(生業にできる産業)にしなければならない。日本はそうなっていませ
ん。成熟型経済というのは、ここがポイントになる。
最大のサービス産業は何ですか。医療、介護そして教育でしょう。ここがむちゃく
ちゃになっています。そして国家管理がバッチリ残っています。日本型社会主義の本
丸なんです。社会保険庁、どうしようもないですね。教育委員会、文科省は何をして
いますか。医療はお寒いかぎりでしょう。厚生労働省関連の予算は何パーセントあり
ますか。三割をはるかに超えている。それだけ政官業の既得権がバッチリある。ここ
に切り込まなければならないのです。

ここはまず規制緩和、市場のルールに持っていかなければならない。最初から「あろ
うべき」社会的市場なんかできっこないんですから。最初は、弱肉強食のような側面
の問題もいろいろ起きます。なるべくその痛みは少なくしなければなりませんが。し
かしその試行錯誤を通じてしか、社会的市場は見えてきません。逆にいえば、日本型
社会主義の国家管理からは、社会の必要から生まれてくる社会的市場を潰すことは
あっても、絶対に社会的市場は見えてきません。行政改革も、ここに焦点を合わせな
ければなりません。

こういう視点からの政策転換を準備しなければならない。そうでないと「格差反対」
「搾取反対」みたいな感じで流れます。その延長で「参院で16議席ひっくり返せば、
次は政権交代だ」と言ってみても、なかなかそうはいかないと思います。マニフェス
ト感覚の分る有権者は「二大政党は必要だけれど、これじゃあなぁ」となりますか
ら。地方でがんばっている部分、依存と分配から卒業している部分ほど、そう感じる
はずです。

政権交代を構えるなら、民主党はここの政策転換を鮮明に打ち出す必要がある。言い
換えれば、自分たちの社会的市場経済の哲学を持つ必要がある、ということです。言
葉で「公正(公平ではなくて)」とか「共生」と言っても、社会的市場のリアリズム
がなければ、実在は限りなく「格差反対」に近づきます。

外交面では、イメージ的にいえば本格的に「知米入亜」への転換を実践的に準備しな
ければならない、ということです。イラクからの撤退がどうなるかは分りませんが、
どちらにしろ、「アメリカの一人勝ち」という世界ではなくなるのは間違いない。日
米中がお互いにステークホルダーとしての相互連鎖関係になるようにしなければなら
ない。そして日本・韓国・ASEAN・オーストラリアが「ミドルパワー・ネット
ワーク」の関係になる。その絶好のチャンスなんです。アメリカの単独行動主義・一
極体制が、転換せざるをえない時期なんですから。

【政策転換の政治意思を持った「強い一票」を】

そういう歴史の大きな舞台が回り始めたということです。
そのためにも、これを回す主権者運動が必要だということです。アメリカだって、こ
の転換は選挙です。中間選挙で明確な民意が示されたからこそ、政策転換がこれだけ
鮮明に提起されているわけです。日本でも、そういう政策意思を持った民意が必要な
のです。頭山会長(頭山興助・呉竹会会長、来賓としてごあいさつを頂戴した)が言
われた「強い一票」(清き一票は当たり前の前提)というのは、そういう明確な政策
意思を持った一票ということなんです。

復党問題だって、復党がいいか悪いかは知りませんが、ああいうことをやったのでは
「あの選挙は何だったのか」「自分の一票は何だったのか」ということですね。ただ
ちに有権者からの電話やファックスが自民党本部に殺到する、というくらいの運動、
パワーが必要なんです。
来年の統一地方選、参院選は、日本の政党史上も重要なポイントになります。そのた
めにはホンモノの主権者運動、行動する主権者運動に高めることが決定的です。

そこにむけてがんばりましょう。

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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
 「がんばろう、日本!」国民協議会
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