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メルマガ♯がんばろう、日本!         №325(25.9.2)
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「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
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Index 
□ 民主主義のための闘争と責任の回復 ~政治システムの不安定化のなかで
 ●民主主義のための闘争か、民主主義からの逃走か 有権者としての責任とは
《字数の関係で、以下は略》
●責任の回復か、無責任政策の乱立か 民主主義の分岐点
□ STOP GENOCIDE in GAZA!
Do not stop talking about GAZA!
□映画「壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記」
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民主主義のための闘争と責任の回復 ~政治システムの不安定化のなかで
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【民主主義のための闘争か、民主主義からの逃走か 有権者としての責任とは】
 参院選の結果、衆参両院で与党が過半数割れとなり、政治システムはさらに不安定化することになるだろう。「二大政党制が崩れて穏健な多党制に向かってくれればよかったのでしょうけれど、そこを通り越してさらに分極的多党制よりももっと不安定な状況に一気に行っているような状況にある」(山本健太郎・國學院大學教授 11-14面)。
 参院選の投票率は58.51パーセント。投票率50パーセントの枠では「投票箱の外」だった民意(政治不信、無関心)の一部の「むきだしの感情」が可視化されたとも言える。
投票率の向上が必ずしも「良い統治」をもたらすわけではない。アメリカの政治哲学者ジェイソン・ブレナンは「うまく投票するための動機、知識、合理性、あるいは能力を欠いた市民は、投票を棄権すべきである」と述べる(「投票の倫理学」(勁草書房)引用は玉手慎太郎「投票の棄権は悪と言えるのか」Voice 8月号より)。
こうした〝一定の基準〟を満たさない有権者は足切りもやむなしとまでの主張は、社会の安定性(知識と熟慮を欠いた投票に基づくポピュリズムを抑制することへの期待)のためである。しかし、
 「「劇薬」を求める有権者に社会の安定性を説いても、「良い投票」や「投票の棄権」は期待できない。この悲観こそ、ブレナンが『アゲインスト・デモクラシー』で民主主義の否定へと転向してしまった理由であり、私たちが向き合うべき課題である。
 SNSが選挙結果を左右するほどの影響力を持つ今日、ブレナンが提起した「道徳的な有権者」としての責任を、私たちはあらためて考える必要がある」(玉手慎太郎 前出)。
「有権者としての責任」といっても、上から目線で倫理を説くような話ではない。
「既存の政治勢力が国民の政治的ニーズに十分応えることができない場合に、新たな勢力が登場して支持を伸ばすこと自体は当然に予定された現象とも言える。この意味では現状への異議申し立てこそが政治に活力を与えると見るのも理由のないことではない。(中略)従来の価値観に照らせば一見奇矯・過激に見える政治的動きに、重要な革新の芽が含まれることもある。(中略)
しかしながら近時の政治的動揺には、競争メカニズムを通して政治が自己修正を遂げていくという枠組みを踏み越える部分が存するように思われる。それは、デモクラシーの基本的条件自体を毀損する動きがしばしば見られる点である」(林知更「デモクラシー再生は可能か」 日経「経済教室」6/11)。
これまでは投票箱に収まらなかった民意が、まずは「感情」的な異議申し立てとして政治的に顕在化するのは、ある意味で当然であり、これを「劇薬」―ファシズムのような、デモクラシーの基礎的条件を毀損する方向に作用させてしまうのか、民主主義の再活性化(民主主義のイノベーション)へ結びつけることができるかが問われているということだ。
ここでの「有権者としての責任」の第一は、現状への異議申し立てとデモクラシーの基礎的条件を毀損する方向を仕分けすることではないか。
デモクラシーの基礎的条件は第一に憲法秩序であるが、それが機能するための前提条件あるいはインフラは多岐にわたる。
「日本の統治構造を規定する基本的ルールの多くが憲法典の中に書かれていません。憲法典と憲法秩序がずれる。その「余白」を埋めてきたのが、「55年体制」以降は自民党であり、官僚たちでした」
 「複数の要素が絡み合い、自民党を中心とした統治構造の「岩盤」が徐々に崩れてきた。つぎはぎで補修できないような裂け目が生じている。参院選で議席を伸ばした参政党や国民民主党は、アテンションエコノミーのようなソーシャルメディアのビジネス構造を巧みに利用した形で、岩盤の裂け目に入ったと考えられます」
「岩盤にここまで裂け目が生じている以上、政治における「当たり前」を、今の社会の変化に対応するようなものに抜本的にかえていくことが求められます。(中略)
 今の憲法危機は、主権者である国民にとってチャンスでもあります。「護憲か改憲か」という硬直的な議論ではなく、憲法典を生かすにはどういう戦略があるのか。
 例えば、夫婦別姓の問題についても憲法典に直接的には書いていない。「私はこう感じる」という裸の感情ではなく、憲法典を踏まえてどう解釈していくのか。まさに余白を私たち自身でどう埋めていくのかという視点が大切でしょう」(山本龍彦・慶應大学教授 毎日8/1)。
 「裸の感情」(または「むき出しの庶民感情」)を、「憲法(秩序)を踏まえてどうなんだろう」というところからとらえ直してみる、他者とそういう会話・対話をしてみる。そのなかから、現状への異議申し立てとデモクラシーの基礎的条件を毀損する方向を仕分けする術を身に着けていくこともできるのではないか。
 ちなみに田中辰雄・横浜商科大学教授の分析によれば、どういう批判を聞いて参政党に入れるのをやめたかという質問に、憲法案と個々の政策に現実的根拠がないとの批判が多かったとのこと。逆に排外主義、差別主義、極右といった批判には「かえって入れようと思った」と。
(出典: https://note.com/tanakatatsuo/n/na76fdb977068)
憲法秩序ないしは憲法価値を踏まえてどうなのかというところから、「余白」を私たち自身でどう埋めていくかという対話を積み重ねていくことが大切ではないか。
(以下「日本再生」556号一面へ続く)
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STOP GENOCIDE in GAZA!  Do not stop talking about GAZA!
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●ガザ市の飢饉は「人類の失敗」と国連事務総長、専門機関が最高レベルの危機を報告 - BBCニュース
●グレタさんら乗せた船、再びガザ地区に向け出航 支援物資届けるため(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース
●ガザの子供たちを守るために!教育と心理ケアを行う現地プロジェクトを支援|For Good|手数料0%のクラウドファンディング
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●パレスチナのために日本からできること
Olive Journal | 市民がつくるパレスチナ情報サイト (studio.site)
●【植民地主義に抗い民衆と連帯するアクションリスト】
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映画「壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記」
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映画『壁の外側と内側パレスチナ・イスラエル取材記』公式WEBサイト
日本人ジャーナリストが目にした「10.7」のその後
川上 泰徳(本作監督)
ハマスによる越境攻撃と、その後のイスラエルによるガザの破壊と大量殺戮。30年、ジャーナリストとして中東を見てきた私にとっても異常な事態でした。何が起こっているのかを知るために、パレスチナとイスラエルを一か月かけて歩きました。ガザは封鎖され、入ることは出来ませんでしたが、イスラエルが建設している「壁(分離壁)の外側」のヨルダン川西岸のパレスチナでは、人々の生活を破壊し、排除するイスラエル軍の占領の実態を見て、人々の訴えを聞きました。一方で、イスラエル国民は自分たちの軍隊による壁の向こうでの加害を知らない、という「壁の内側」の実態も。メモ帳を携帯カメラに持ち替えて、取材のすべて記録し、私が出会った光景、出会った人々、予想もしない展開、そして見えてきたことを、皆さんにも体験していただき、共に考えたいと思って初めての映画をつくりました。
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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
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