「『経済学っぽい』思考の欠如が日本をダメにする?」

第94回東京・戸田代表を囲む会は、諸富徹・京都大学教授をゲストスピーカーにお迎えして開催。
タイトルは、「『経済学っぽい』思考の欠如が日本をダメにする?」

含意は、「あれも、これも」ではなく「あれか、これか」を選択しなければならない時代には、『経済学っぽい』思考が必要になる、あるいは役に立つ、ということ。
さまざまな制約条件の下での合理的選択を考える経済学は、「トレードオフの学問」であり、「あれか、これか」の選択が問われる時代には、かなり有効なツールとなる(そのように使いこなすことが、求められる)ことがお話しされた。

前半は、経済学とは何か、というチョット講義風の話。このなかでは、「効率性」と「公平性」を峻別する議論の重要性が指摘された。後半は、こうした「経済学っぽい」思考から、現実の政策をどう考えるか、として「環境(グリーン経済)」「TPP」「製造業のイノベーション」「公共投資」などについて、お話しされた。

今回の税制改正についても、こうした「経済学っぽい」思考からすると、グローバル化の下で成長戦略と分配政策を切り離す(効率性と公平性を峻別する)、という世界的な流れに沿った一歩となっていることが、明らかにされた。
またEUの結束基金や、給付つき税額控除など、分配政策においても、これを成長戦略や投資戦略と結びつけるようなイノベーションが始まっていることが提起された。

講演の詳細は、「日本再生」380号を参照。


「2010年度 望年会を開催」

恒例の望年会を、23日に開催。パワーシフトとパラダイムチェンジが同時進行する、国際政治のかつてないほどの激動期。そのなかでの「はじめての」政権交代は、「失われた20年」の間に積もり積もった、粉飾決算の後始末からしか始まらない。
政権交代一年あまりの総括をどう語り、変化に対応するための「担い手の変更」の糸口を、いかに作り出していくか。来年の統一地方選にむけた課題の共有するべく、歓談が繰り広げられた。

あいさついただいた国会議員は、木内たかたね衆院議員(なかなか期待に応えられていないが、○○番目のダムや地方空港ができなくなっただけでも政権交代の意義はある。)、藤田幸久参院議員(茨城県議選の報告→統一地方選への構え)、前田武志参院予算委員長(「ねじれ」から熟議の国会へ)、五十嵐文彦財務副大臣(税制大綱は、どんな社会をめざしているのか。「帳尻あわせとはやし立てるが、帳尻が合わなかったら大変なこと、すべて後世代のツケになる。そんなことをするわけにはいかない!)、柿沢未途衆院議員(みんなの党をよろしく!)、初鹿明博衆院議員(事業仕分け、スーパー堤防)。(順不同)

同人を中心に地方議員会員からは、来年の統一地方選をいかに戦うか。非バッジ組とともにチームとしての地域の活動も紹介された。

戸田代表の提起は、「日本再生」新年号一面に反映されています。


「2010年望年会in京都を開催」

12月21日、京都市内で「2010年望年会in京都」を開催。

「リーダー総入れ替えの2012年・東アジアをどう展望するか」という、構造的な変数が複雑に重なるテーマを、事実に基づいて分かりやすく解説。
「いかなる政府も一国単位で経済政策や外交政策を全うすることができなくなっている」なかで、日本の民主党が「党内、連立、対野党、そして外交」と内側から優先順位が高いゆえの一層の政治的混迷・混乱と一刀両断。
「GDPや年収というような数字で国や個人の豊かさがはかれる時代は終った。数字で表せない豊かさや幸せを再定義できるか」という問題設定はとくに共感できた。時代の課題を担える人材をいかに創出するかという問題は、村田先生が福沢諭吉の言葉を引いて強調された「地方自治の貧しい国の外交は必ず失敗する」という教訓のなかに答えがあるような気がする。

第二部「望年会」冒頭での戸田代表発言。「政権交代の第一の目的は日本の実際はどうなのかがオープンになること。そのために民主党政権は(ドタバタ劇も含め)よくやっている。村田さんが言うように、民主党がどう、自民党がどうという前にグローバルなパワーバランスの変化、日本の老衰化(2012年生産年齢人口が激減する)という事実を見ないかん。議員の職業病は選挙に勝たんがために老衰した年齢構造に依存し、グローバル経済と向き合っている層とのコミュ二ケーションがおろそかになること。このような認めたくない事実についても、お互いはっきりものを言わないかん」と、「環境経済戦略のリーダーシップをとる」というような問題設定の大胆な転換(2012年韓国大統領選のテーマになる)の前提になる主体的条件が示された。

乾杯の発声は、前田武志・参議院予算委員長。アセアン議員フォーラムで10カ国の大使と懇談のあと、前秘書でもある大西孝典・衆議院議員(奈良4区)とともに駆けつけていただいた。懇親のなかでの発言は、大西議員のほか上野賢一郎・前衆議院議員、山本ただすけ・和歌山市議会議員、木村正治・東大阪市議会議員、中小路健吾・京都府議会議員、祐野恵・長岡京市議会議員、岸孝雄・大山崎町会議員、そして来春の京都府議会選挙に伏見から挑戦する松井陽子氏、全京都建設協同組合の川久保理事長。京都青年学生読者会と大阪読者会のメンバーからは、読者会への参加が呼びかけられた。司会は、山本ひろふみ京都市会議員。
中小路議員が「(時代の要請する)リーダーをどのように育てていくのかは、フォロワーの側の問題でもある」と指摘した通り、来春の統一地方選挙は人材を選抜していく重要な組織戦になるだろう。
(文責・杉原卓治)

(福山哲郎・内閣官房副長官、松井孝治・参議院議員、徳永久志・参議院議員のそれぞれ秘書も代理出席された)


「〜政権与党としての1年をどう語るか〜民主主義のイノベーション―担い手の変更を」

11月19日京都で戸田代表を囲む会を開催。ゲストスピーカーは、鳩山政権と第一次菅内閣で総務大臣政務官をつとめた小川淳也・衆議院議員。小川議員の公務都合で当初12日開催の予定を変更したため、「常連」の隠塚功、中小路健吾、上村崇各同人議員が出席できない中、諸富徹・京大教授に提言的なコメントをお願いした。「世界大戦にも匹敵する」時代の大転換期での政党政治のガバナンスのありように関する、本質的かつ実践的な議論が展開された。

小川議員は、昨年の政権交代の本質的課題は(したがって現政権の迷走の本質は)右肩上がりの時代から「逆回転」(去年より売り上げが下がる、給与が下がる、税収が下がる)に入ったときの、官僚主導(予算の積み上げ)から政治主導(なにをやめるのかのトップダウン〜マニフェスト政治)への民主主義のイノベーション〜決定的には、力と見識と信頼感あるトップリーダーへの「担い手の変更」であると。「昨年の補正予算見直しでの『まじめに削った方が損』という流れに『このまま行ったら大変なことになる』と感じた。本年度概算要求は95兆円にまで積み上がってしまった。政権交代に国民が期待したものを実質化するためには世代交代が不可欠」と政権与党の政務官というミドルマネジメント=実務家としての教訓が率直に語られた。

諸富先生からは、政府への政策提言を求められる立場で、国家戦略室の会議や民主党税調小委員会の議論にも参加された総括が。既得権層の抵抗を超えていく政治主導がなぜうまく機能しなかったのか、もう一度トップダウンの意思決定の制度的な工夫が必要ではないか。(新しい発展戦略の追求と、そこから派生する問題への対応〜新たな分配問題を切り離して考えるべき〜世界的にはモデルも教訓もある、という提言もされた)

既存の抵抗をのりこえるために、目先の利害を超える大義と、相手のハードルを下げる工夫は不可欠だ。歴史的転換の時代には、仕組みを変えるのもトップリーダーがリスクを取る責任と覚悟(見識とはこのこと)がなければ、「いいわけ」に流される。ミドルマネジメントから「このままでは破綻します」と事実を報告されたときに「君たちが変えてくれるなら・・・」という企業トップを入れ替えなければどうなるか?という問題だ。

小川議員は、「仕組みを整えても、逆境の時代に備えることはできない。意思決定のシステムで制度は二割、八割は人の要素。制度さえもトップが組み立てていかなければ力をもたない」と言い切った。今必要なのは、事実を直視する(本当は日本がどうなっており、どうなりうるかを開示する)勇気と、「担い手の変更」を通じた民主主義のイノベーションだ。
杉原・記


「政権運営の実績をいかに語るか」

第93回 東京・戸田代表を囲む会を、11月8日に開催。
ゲストスピーカーは内閣府副大臣を退任したばかりの大塚耕平参院議員。内閣府は所管省庁に収まりきらない、省庁横断的な政策を担当するとあって、担当した分野は10、関係大臣は5人という複雑さ。
大塚議員は自らが担当した課題のなかから「規制改革」(財源を使わない景気対策)、「地域活性化」(総合特区)、「公共サービス改革」についてとりあげ、政治家がきちんとマネジメントすれば、政府がこのように機能するという実績を報告された。
言い換えれば、大臣、副大臣、政務官といった政治家がマネジメント、ガバナンスの実務をきちんとしなければ、政府は機能しない(してこなかった)ということである。
「日本再生」379号の大島・前内閣府副大臣のインタビューでも、こうした政権運営の実績が述べられている。

これまで、与党議員・政治家の実績といえば「利益誘導」ということであったが、「政府のマネジメント」という形で実績を語れる与党議員が生まれつつあるということだ。大塚議員は、今後は議会の側から、自らが手がけた仕事の進捗をチェックしていく形で、与党として政府のマネジメントに関わることになる。内閣改造で副大臣、政務官が大幅に入れ替わったが、政務三役を経験した議員が、今度は議会の側から政権運営にかかわり、新しい与党のカタチを作っていくことになる(そこでの仕分けも始まる)。

ただし、われわれを取り巻く環境の激変は、「世界大戦に匹敵する」ような国際的大再編期であり、事態の進展は、大きく遅れをとっているわが国を待ってくれるわけではない。2012年には、アメリカをはじめロシア、中国、韓国、台湾と東アジアに関わる諸国で軒並みリーダーが交代する。

はじめての政権交代は、いってみれば、何代にもわたって続いた同族経営会社が、粉飾決算を重ねた挙句に破綻した、それを引き継いだようなものである。債務の確定(本当は日本がどうなっており、どうなりうるか)を進めつつ、一方で、凍結できる債務をうまく凍結し、少しでも可能性のあるところに集中する、ということが破綻再生におけるマネジメントの要諦である。
政権交代がたびたびあるところでは、前政権の負債もそれほど積みあがらないが、55年体制成立から50年余りにわたって積みあがった負の遺産を、いかに仕分けし、マネージするか。ここが問われている。


日本外交への視座

第92回、東京・戸田代表を囲む会。10月14日開催。ゲストスピーカーは今夏、参議院議員に初当選した大野元裕参院議員。

以前より何度か、中東問題の専門家としてお話しいただいたが、今回は政治家として、「外交とは何か」といった根本からお話しいただいた。

冷戦時代には「西側一員論」「日米基軸論」の思考停止でも何とかなったが、21世紀に入ってからの世界史的な構造転換の下では、カネの力を背景にした「全方位外交」ではいかんともしがたい状態が、あちこちで露呈している。

大野議員は、外交とは徹底したリアリズムであることを「武器を使わない戦争」と表現。絶対的正義は存在せず、常に連立方程式で動くなか、「溜飲を下げる」とか「毅然とした→こっちが正しい」といった枠組みで、外交を語ることが国益を毀損する危険性を、いろいろな角度から指摘した。

戸田代表の集約では、戦前、第一次大戦と第二次大戦との間の戦間、国際秩序が大きく変動する(英から米への覇権国移行など)なか、こうした変化を見誤り、ナショナリズムをあおって「ジリ貧からドカ貧へ」の泥沼に突入した誤りを繰り返してはならないと提起。現在も、中国の台頭に象徴されるような、パワーバランスの転換期にある。こうした時期に、外交をナショナリズムで扱うことの危険を、日本も中国も、歴史の教訓として、しかと肝に銘じるべきだ。


第19回 関西政経セミナーを開催

8月22日、京都市内で第19回 関西政経セミナーを開催。

有権者の熟考型選択(参院選の結果〜「民主党は政権交代の原点に立って体勢を立て直せ」)にいかに応えるか?をテーマに、3時間の長丁場が「あっという間」に感じるほど、密度の濃い議論が展開された。

まず、大阪選挙区の激戦を勝ち抜いた尾立源幸 ・参議院議員から。予算編成の過程では「委託費」や「補助金」を重点的に削減するような政治判断が問われている、マニフェストの軸をすえた予算編成では、「あれもこれも」の時代の延長の「一律何割カット」という手法を卒業すべきだとの提起が印象的だった。民主党京都府連で参院選の重責を担った、隠塚功 ・京都市会、中小路健吾 ・京都府議会、上村崇 ・京都府議会、各議員からは、右肩上がりの時代の政治のありよう(分配政治)そのものからの転換が「政権交代の原点」であること、諸富徹・京都大学教授からは「成長モデルの転換」が問われているとの問題提起があった。戸田代表から「民主主義の正しい権力行使のルールとしてマニフェスト政治が準備されてきた」と総括があり、政治のイノベーションの核心は民主主義そのものの(主権在民)深化であることが共有された。

つづいて、有権者とのコミュニケーションについて。論点提起と熟議が本来の政治の役割であり、従来の個人後援会型からマニフェストを媒介にした政党政治文化の確立や、議会そのものが住民の意思を集約していく政治文化の確立(議会基本条例の主旨)が急務であることが確認された。熟考型の有権者が増えれば増えるほど、地方では二元代表制のガバナンスのありようが問われる。「京都スタイル(民主党京都マニフェスト)」でも議会改革は一本の柱だ。来年の統一地方選挙に向けた「PDCAサイクル」のプロセスに、「熟考」をはじめた住民自身の参画をどのように進めていくかが緊要になっている。

セミナーの最後に、福山哲郎・ 内閣官房副長官が駆けつけ挨拶。懇親会の冒頭でも「地方財政を国が支える時代は終わった。統一地方選挙にむけて地方議会のありようが本質的に問われる」旨の発言をうけた。懇親会では、木村正治・東大阪市議、今江政彦・滋賀県議、江畑弥八郎・同県議、山本忠相・和歌山市議からそれぞれ自治分権確立への決意が述べられた(山本ひろふみ・京都市議、河本たかし・京田辺市議はセミナー参加)。

杉原卓治・記


みんなの党が、めざすもの

8月9日、第89回となる東京・戸田代表を囲む会。ゲストスピーカーは、参院選で改選第三党に躍進した「みんなの党」・水野賢一参院議員。

水野議員は自民党の衆院議員を4期、09年の総選挙で惜敗し、先の参院選で千葉県選挙区より、みんなの党候補として当選した。自民党では、党改革の中心メンバーとして活躍。当時から、渡辺喜美氏(みんなの党代表)とは政策的スタンスをともにしてきた。

水野議員は、みんなの党の躍進は、「民主党にはガッカリしたが、自民党に戻すわけにはいかない」という、有権者の消極的選択に一因があったとしたうえで、しかし、さまざまな「新党」の中で、みんなの党だけが躍進しえたのは (「新党ブーム」ということでは、日本新党を超える議席獲得)、あえて与党から離党して改革を掲げた渡辺代表に象徴される「覚悟」にあったのではないか、と分析。

「アジェンダ」という政策の思考性とともに、「誰が」訴えるのか、「誰が」訴えればメッセージ性、波及力を持つのか(or持たないのか)ということだろう。その意味では、水野議員にも何度かインタビューという形で登場していただいているが、やはり目の前でのお話は、ご本人の人柄から伝わってくるものがある。

今回の衆参の「ねじれ」は、与野党が熟議をしなければ何も決まらない、という絶妙な議席配分だ。言い換えれば、与党はもちろん、自民、公明、みんなも含めて、国会運営に責任を持つことが求められる。
水野議員は、みんなの党は、参議院では議員立法を提出できる議席をクリアしたので、与党の提案に対して賛否をいうだけではなく、積極的に議員立法を含めた提案を行い、改革を前に進める観点から、民主、自民にゆさぶりをかけていく、というスタンスであると説明した。その最初の一歩が、今国会での「歳費の日割り法案」だ。ちなみに、焦点となる参議院で、水野議員は国対委員長として民主、自民とわたり合うことになる。

戸田代表からは、みんなの党に期待する役割として、日本の近代史上はじめて「大きな政府か、小さな政府か」という、政府をめぐる(政府の経営規模をめぐる)論争軸が、有権者市場にはうまれつつあること。財政問題(消費税問題を含む)は、そのことがポイントであり、この意味を永田町にも反映させなければならない。そのための牽引役を、みんなの党には期待している。それができないと、次期総選挙・政権選択を政策の方向性に沿ったマニフェストで政権を選択する、という「まとも」なものにできないし、「まったなし」の財政健全化も、ここにかかっている、とのコメント。


8年ぶりの上海

7月4日から8日まで、上海を訪問。前回は2003年春だから、8年ぶり。高層ビルがさらに林立するなど、街は大きく様変わり。
上海万博のおかげで、2020年までのインフラ建設が前倒し完成したとのこと。確かに最新のガイドブックには、地下鉄は9号線までしか載っていないが、移動の途中で10号線の駅を、いくつも見た。

出発時には、「民主党は改選議席は確保」の情勢が、帰国してみれば「40議席ギリギリ」へと失速していた。

もちろん、万博を見学。チケットは、旧知の呉寄南さんからいただいたもの。ちょうど朱建榮さんのグループと、日程が重なっていたので、ごいっしょさせてもらう。おかげで日本館と日本産業館には、並ばずに入れた。
一番人気はサウジ館。メガネなしの3Dが人気の的で、9時間待ちもザラとのこと。中国館も入場予約券なしには入れず、連日、夜明け前からゲートに並び、開門と同時に予約券配布に並んで、アッという間に配布が終了、という状態。

技術と環境をテーマにした日本館と日本産業館も、人気が高く、連日4 時間待ちとのこと。ロボットに目を輝かせる中国の子どもたちを見ていると、「鉄腕アトム」が描き出す、近未来のテクノロジーにわくわくした感覚を思い出す (ワタシが子どもだったころ)。
(写真上 日本産業館の前の行列の一部)

この日の夜は、上海交通大学法科大学院を院長として立ち上げた、元神戸大学の季衛東さんと、一年半ぶりに再会。ご活躍の様子をうかがうとともに、おいしい上海料理をごちそうしていただいた。(写真 右)

翌日は、朱建榮さんのグループに混ぜていただいて、揚子江河口の崇明島を訪問。上流から運ばれる土砂が堆積した揚子江の中洲の島で、上海市中心部からは「トンネル」と「橋」を通っていく。
島の東側(東シナ海側)には、ラムサール条約に登録された大湿地帯が広がっており、その西側に環境保全のための「緩衝地帯」として、広大な自然保護公園が建設され、国家的な生態保護地区に指定されている。(写真左 自然保護公園の地図)

釧路湿原をはじめ、世界中の湿原保護の取り組みを学び、雨水を貯めて (写真 右)、アシ原、ヨシ原を流れながら自然に浄化されるよう、高低差をつけて設計されているという。設計・管理の責任者は、「湿原は地球の腎臓だ。これは世界共通です」と言っていた。
多くの渡り鳥の中継地であり、絶滅危惧種の揚子江ワニを自然環境のなかで生育させている。公園の東側には、こうして浄化された水がはくぐむ広大な湿原が広がっている。(写真 左) 中国の環境問題、生態系保護の取り組みへの真剣さが、十分に伝わる取り組みだ。

95年に、中国の環境問題のシンポジウムを開催したときには、環境問題に取り組んでいる人でも「汚染してからそれを回復するのは大変なことだ」ということに対して、「まずは経済成長しなければ、対策の費用もできない」と言っていたが、今回は「上流の汚染をいかに食い止めるか」という話がすんなりと進む。

午後は、同じく崇明島で低農薬野菜のブランド化に成功した、農業合作社を訪ねる。エコ農業、エコタウンなど、島全体を環境保全型開発のモデルにしようとしている。

ちなみに以前は、崇明島へは船で半日から一日がかりで行くしかなかったが、今は海底トンネルと橋とで、渋滞さえなければ1時間程度。今後は地下鉄も通すという(すでに、トンネルと橋を建設するときに、地下鉄用の通り道も同時に建設)。さらにこれから、崇明島から江蘇省・南通方面へ抜ける道路が建設されると、南はアモイから北は黒龍江省へとつながる、沿岸ルートが開通するとのこと。

四日目は、上海国際問題研究所に呉寄南さんを訪ねる。以前、租界地区にあった瀟洒な建物から、少し郊外の大きな建物に引越しして一年になる。翌日から、参院選をウォッチするために日本に来るという呉さんと、意見交換。(写真 左)
夕方からは高速を飛ばして、蘇州でレストランを経営する増田さんを訪ね、鎮政府の外郭団体として設立された日本の中小企業誘致に携わる、若い人たち(日本に留学した中国人、日本から転職した日本人、日本語のできる鎮政府幹部)と、夜遅くまで歓談した。帰りのタクシーの中では、ちゃんと帰れるか不安(中国語はまるでダメ)いっぱいだったが、眠気がそれを上回ってしまった。
(もちろん、ちゃんと送り届けてくれました)

最後の日、荷造りを終えた後に、街をぶらつく。上海一といわれる書店をのぞく。7月1日から、日本への中国人観光客へのビザ発給条件が緩和されたように、中国では今、日本旅行がブームとのこと。本屋には「北海道4泊5日」とか「東京4泊5日」といったガイドブックが並んでいる。ほかにも各国の「地球の歩き方」(中国語バージョン)や、中国国内の旅行ガイドが豊富に並んでいる。

COP15の後に、低炭素化にむけた中国の政策転換を促す(と思う) 提言本が、日本で言えば「ベストセラー売り場」にあたるところにおいてあった。30代前半の著者ということもあって、一冊購入。専門家の方に差し上げようと思う。


川村秀三郎・衆院議員・元林野庁長官が語る“政権交代第二幕”

6月17日、第88回となる東京・戸田代表を囲む会は、川村秀三郎・衆院議員をゲストスピーカーにお迎えして開催。 川村議員は、昨年の総選挙で初当選、社民党との選挙協力の関係で「無所属」であるが、会派は民主党会派に所属。 川村議員は元林野庁長官という、官僚トップを務めた人物。民主党では、若手の「過去官僚」が政権を支えているが、川村議員のような、官僚トップから政界にチャレンジした人は他にはいないだろう。

官僚トップまで経験し、「役人の世界にどっぷりつかった」(ご本人の弁)視点から、鳩山政権での「政治主導」や「内閣への政策決定の一元化」といった、政治過程の大改革が、現実にどう進められ、どこに問題があるのか、事実に基づいて率直にお話しいただいた。

官僚出身だからこそ、「政治主導でなければならない」ことを強調されるとともに、族議員を巻き込んでの官僚主導に替わる、新たな政策形成プロセス、決定プロセスの未確立が、さまざまな迷走を生んでいること、しかし試行錯誤のなかから「あるべき政治主導」のプロセスを作り上げていく方向が見え始めていること、ここでも「政権交代第二幕」が始まりつつあることが語られた。


30代、一回生議員が語る“政権交代から九ヶ月”

6月9日の「囲む会」は、初当選の30代議員三名をゲストスピーカーにお招きして開催。
戦後体制の価値観がはじめから前提になっていない世代が、政権交代以降の動きをどうとらえ、何を感じてきたか、率直にお話しいただいた。

三名のゲストスピーカーは、柿沢未途衆院議員、森山浩行衆院議員、藤田憲彦衆院議員。藤田議員には、五月の「総会」スピーチで「衝撃のデビュー」を飾っていただいたのに続いてのご登場となった。
おりしも、菅新体制が発足したばかり。それぞれから「今後」への期待や課題が述べられた。
共通して提起されたのは、国会を政策論争と決定の場として機能させるために、会期制をなくす―通年国会化という点。

柿沢未途衆院議員
これは「ねじれ」国会のときにも、自民・民主の中堅議員が共同で提言した国会改革の柱のひとつであるが、新世代はそこまでの集積を短期間のうちに前提として共有したうえで、さらに先に進もうとしている。21世紀型政治へ脱皮するスピード感は、明らかにこれまでよりも増してきている。

森山浩行衆院議員
法案の中身にかかわりなく、「何が何でも通す」のが与党、「何が何でも反対する」のが野党という、旧い体質・習慣。会期制だからこそ、「政策に関係なく、日程がすべて」という国会運営、その体質や「手腕」。それらがまさに「捨て去るべきもの」として、確実に後景に退きつつあることを、三名がそれぞれ体現した。今回の「政変」は、その連動性を、より分かりやすく(見たくなかった人にまで、見ざるをえないところまで)可視化するだろう。

藤田憲彦衆院議員
藤田、森山議員は、今回の代表選にそれぞれ重要なポジションで関わった。「一回生」のなかにも、九ヶ月の間に国会質問や政策作りや事業仕分けへの関わりを通じて、ポジションの違いが生まれ、篩にかけられつつあると同時に、「代表選」という大きな舞台で、政治家としてさらに成長していく可能性も確実にみえてきていることを感じさせた。

政権交代は第二幕を迎えた(メルマガ140号参照)。
分配政治へ逆行する可能性を確実に封じ、21世紀型政治への脱皮をさらにスピードアップするために、参院選での戦略的投票を!


問われる政治のイノベーション

5月22日京都市内で 福山哲郎外務副大臣・参議院議員と諸富徹京大教授の対談「低炭素経済への道」を中心に、「戸田代表を囲む会in京都」を開催。

「グリーン資本主義」への転換は、産業革命に匹敵する「政治・経済・社会」全分野のイノベーション(産業構造の転換のような非連続的改革)が不可欠。旧来の産業構造の中での既得権や、「経済と環境は相容れない」という通念が改革の前に立ちはだかる。これらの「かたい岩盤」をいかにうまく掘り崩していくか?対談では、エネルギー多消費型産業や労働組合の深部からも確実に流動化が始まっていることが浮き彫りにされ、政治の説得性と政府の制度設計の課題が明確になった。

諸富先生のコーディネーションは終始、新しい政治的多数派形成をいかに推し進めるのか、そのための障害をうまく取り除いていく条件はどのように成熟しつつあるかを明らかにしていった。とくに、世界的にも大きなイノベーションが必要な時期に入っているという時代観の共有とともに、乗り越えるべきハードルとして市場のルールを政府が設定し、産業活動全体を低炭素セクター主導の構造へと転換していく〜「スマートな環境規制」という問題提起はきわめて印象的だった(イノベーションの促進手段として「環境規制」をとらえる)。

福山副大臣からは、世界的には「低炭素社会づくりのモデル競争」に入っているとともに、日本でも経済界との対話をつうじて「空気が変わりつつある。これをいかに変革の機運に転換するか」との現状認識が示された。表向き「CO2・90年比25%削減は世界の中で突出している」といっている企業経営者や組合幹部も、水面下では低炭素経済社会をにらんだ両天秤をかけはじめた。世界では市場競争のゲームのルールも、また参加者(G20に象徴される)もすでに変わった。「環境経済外交戦略」を打ち出す政治のイノベーションが問われる。

「新しい発展の担い手」はどのように準備されているか?戸田代表のまとめではこのことが強調された。グリーン・イノベーションの担い手は、時代がどのように準備しており、これを促進するためにはなにをなすべきか、旧い担い手がその障害にならないよう、いかにうまく退場を願うか。新しい低炭素経済を支えるのにふさわしい経済社会組織(社会関係資本)の創出が俎上にのぼっている。政治のイノベーションの目的は、このような経済社会を可能にする「新しい政治的多数派形成」であり、当面する参議院選挙の性格は当然これを促進しマネジメントできる「新しい連立政権の選択」ということになるだろう。

(文責・杉原卓治)


大阪「戸田代表を囲む会」

5月16日、大阪で「戸田代表を囲む会」を開催。

はじめに、今参議院選挙で改選を迎える尾立源幸参議院議員(大阪選挙区)より「国民主権で予算を決める〜事業仕分け第二弾を通じて」の報告をうけた。
事業仕分けは、財政の持続可能性の前提。とくに、公益法人=虎ノ門改革は、国会でも、社会からもまったくノーチェックであった「治外法権」 の部分にメスを入れることになる。
その意味で、財政構造改革は端緒についたばかりであり、ひきつづき一つひとつの法人や事業を丁寧に仕分ける作業をつうじて、国の財政に対する国民の信頼と、当事者意識の回復に努めることが肝要である。
「仕分け人」であり、この6年間を国の財政規律と持続性回復の使命をもって国政に尽力されてきた尾立議員には、この仕事をぜひ継続してもらわなければならないと、参加者一同思いを新たにした。

戸田代表からは、この参議院選挙の政治性格と方針が提起された。
政治・経済・社会のイノベーション(非連続的発展=産業構造の転換のようなシステム全体の改革)のみが、低炭素経済への移行を可能にする。グローバル化と人口減という条件下で、政党政治が経済のイノベー ションを準備してきたわけではない日本にとって、ドイツの政権交代(シュレーダー連立政権)の教訓は重要である。ドイツ社民党が単独過半数には足りず、緑の党との連立を組むため、政策綱領を「グリーン化」させていった。それは、同時に各州政府でも、政治のイノベーションとして進められていた。とくに、社民党の有力な支持勢力である労働組合が、環境政策は経済にダメージを与え、雇用を奪うという従来の主張から、 それはうまく設計すれば、環境を保全しながら雇用も創出するという考えに転換していったことは教訓的である。
当面するわが参議院選挙は、日本でもはじめてかような意味の「連立の選択」として、政党政治のイノベーションを促進し、叱咤激励し、検証していく、住民主権の層の厚みと、産業構造の転換を下支える社会的起業の力、総じて社会経済分野のイノベーションの先行が帰趨を決める。

最後に、京都での勉強会「学生と考える環境問題」(150名の学生が参加)から駆けつけていただいた、諸富徹・京都大学大学院教授から「環境・経済・社会、そして財政の持続可能性」についての講演をうけた。
「単なる『財政再建』ではなく、時代の変化をつうじて社会と経済の構造をパッケージで変えていくことが重要」「税制改革は、グローバル化への対応と同時に『公平性』の視点が重要であり、社会改革と税制改革をセットですすめるべき。現在行われている事業仕分けは、その前提(歳出改革)となる」など、示唆に富む問題提起がなされた。

盛りだくさんの内容であったが、ひきつづき5月22日の「京都・囲む会」で議論を深め、大阪読者会(6月8日)、京都学生読者会(6月15日)での 『低炭素経済への道』(岩波新書・諸富徹共著)の勉強会を進めたい。

(文責・杉原卓治)


学生インターンと、主権者としての世代間対話を試みる

第84回の囲む会は、同人議員の学生インターンと、主権者としての世代間対話を試みるという企画。
三名の同人議員事務所から、六名の学生インターンが参加。「インターンを志望した動機」「インターンで学んだこと」などの自己紹介とともに、「内定取り消しにあった女子大生の手記」を読んでの感想などを述べてもらった。

切り口はそれぞれだが、いずれも「どうやって社会と向き合っていくか」というところから、インターンを志している。平成生まれの彼らには、冷戦体制も五十五年体制も「過去の歴史」である。「政治」が特定の利害関係や、疎外、反発からではなく、出発から社会的なものとして意識されている。

だからこそ、これから直面する就職活動についても、社会や時代と向き合いながら生活していく、その持続性をどう身につけるか、という問いが、根底にある。それに対して、たとえ時代背景は違っても(右肩上がりや、グローバル化が前提でない時代)、社会や時代と向き合って生き続けるための助言、主権者として考え続ける訓練のサポートが、どれだけできるか。それが「親世代」をはじめとする「大人たち」には問われることになる。

第一次就職氷河期は、中高年の日本型雇用慣行を維持する一方、非正規雇用の若者を大量に生み出したが、その多くは「派遣村」まで社会的な訴えにはなりにくかった。今年から顕著になっている第二次就職氷河期では、当事者が社会的不条理に対して単なる告発ではなく、社会問題としての提起という形で声を上げ始めている。

「失われた二十年」のツケは、財政ひとつとってもその解決には二世代、三世代かかる。だからこそ、この先三十年間、現役であり続ける世代に、決定権を移していかなければならない。

「バブル壮年」「ゆでガエル団塊世代」「逃げ切り熟年」「立ち枯れ世代」etcの、捨て去るべき「過去・観念・感情」を特定し、その障害を克服する社会的問題提起のすべを、若者は手にしよう!


鳩山政権の半年を、主権者目線から語る

4月9日、第83回の戸田代表を囲む会。ゲストスピーカーに五十嵐文彦衆院議員(災害特別委員長)をお迎えして、鳩山政権の半年を、「主権者目線」から語っていただいた。

五十嵐議員はまず、「政官財の癒着を断ち、国民主権を取り戻したか」として、@情報の共有化(事業仕分け、記者会見のオープン化など)、A官僚主導の廃止、B政財癒着の是正、C無駄づかいの廃止、などの実績を紹介。続いて「政権公約を実現したか」として@子育て支援、A医療・福祉、B環境、C経済・雇用、D地域主権について、今年度予算での実施状況を説明した。いうまでもなく、マニフェストは四年間の実施工程なので、「一年ですべて実現」というものではない。

そのうえで「先送りされた項目」としてガソリン税暫定税率の廃止や公務員総人件費2割削減、事務次官の廃止などをあげた。こられの中には、急激な財政状況の悪化によるものもあるが、明らかに「後退」と言わざるをえないものもある。
五十嵐議員は、とくに郵政の預け入れ限度額の2000万円の引き上げについては、「お金の回し方として、本来民主党がめざしていたのとは逆コースである」と述べた。一方で、GDP500兆円に対して、毎年の国債が借換債もふくめると166兆という、財政の厳しい現状もあることを述べた。

また公務員制度改革についても「後退」は否めないが、たとえば人事制度の改革とセットである「労働三権の付与」に関して、現状では「自治体が大丈夫か」ということを考慮せざるをえない、という「事情」もある。
先送りされた後期高齢者医療制度の廃止も、公務員制度改革も、野党時代にすでに法案を提出している。しかし野党時代の法案は、内閣法制局を相手に矛盾がないかを検証すればよかったが、与党としての法案は官僚機構による実施過程までをコントロールできるものでなければならない。官僚機構を「無視」して対案を作れた野党時代とは、当然違ってくる。

ここでの「苦労」がお話の端々からも伺えた。この現状打開について五十嵐議員は、ひとつは国家戦略局の正式な格上げと、それによる政治過程のコントロールの重要性をあげるとともに、「だからこそ、この参院選が重要だ」と述べた。参院選の結果、参院でも民主党が過半数を占めれば、官僚機構の中にも「民主党政権が続く」ことの見極めが効き、政治主導への恭順が生まれると。

いずれにしろ、目先の政局に右往左往することなく、「主権者目線」から着実に政権を評価していくことが不可欠である。


「戸田代表を囲む、社会起業フォーラム」第二回懇談会を開催

「国富の流出」なのか?「未来へ向けた投資」か

4月3日、京都市内で「戸田代表を囲む、社会起業フォーラム」第二回懇談会を開催。

冒頭、福山哲郎 外務副大臣より、2050年の産業構造やライフスタイルから構想した移行過程のなかで、旧来の構造で利益を得てきた既得権益層との闘争は、産業革命や石炭から石油へのエネルギー転換の歴史を見ても必然である、問題はこの過程をソフトランディングに向けていかにうまくコントロールするかが政治の役割であり、それは経済外交戦略として、東アジアの低炭素経済化への貢献と一体で進めるべきことが強調された。

諸富徹 京都大学大学院教授による講演「資本主義のグリーン化と地域の持続可能な発展」では、福山副大臣のいう「日本がオイルショック以降40年間、蓄積してきた技術やモデルをパッケージとして途上国にどのように出していけるか」という問題設定を、さらに「鳩山政権のCO2 25%削減目標を『突出しすぎ』という議論があるが、未来に向けた必要な投資であり、環境改善や省エネ技術・サービスの新需要を創出し、将来に向けた有力な輸出産業創出につながる」「『鳩山イニシアティブ』のもとで、気候変動対策のために途上国に資金を提供することは『国富流出』という議論もあるが、むしろ途上国への資金還流は、東アジアの共通の利益であるエネルギー安全保障や、温暖化対策の革新的技術や再生可能エネルギーの開発、東アジア地域での低炭素経済創出への投資であり、世界の温暖化防止の帰趨を決することになる」と論点が整理され、経済外交政策を含めた「二つの経済ビジョンの違い」が浮き彫りになった。

講演後半では、愛媛県内子町の事例が取り上げられ、「知的農村塾」や「内の子市場」などの実験を通じた人的資本投資、社会関係資本の蓄積が、地域の持続可能な発展の基盤になっていることが明らかにされた。時代の変化に対応できる社会的人的資源は、百年を最少単位にする人間関係の蓄積である。

参議院選挙、さらには来年の統一地方選挙にむけて、社会起業家が攻勢的に政策論戦を展開すべき論点として、「東アジア環境エネルギー共同体」(諸富教授)の構築に向けた低炭素経済社会システムづくりへの投資戦略と、国内の産業構造転換(新たな低炭素経済市場の創出)を結びつけた、「持続可能な発展戦略」が不可欠になるだろう。

 

5月16日(日)午後4時より、戸田代表を囲む会in大阪(ゲスト・尾立源幸参議)
5月22日(土)午後6時半より、戸田代表を囲む会in京都(ゲスト・福山哲郎参議)


第六回大会 開催
1月11日、第六回大会を開催。2008年1月の第五回大会では、「内外政治の激動に対応できなければ、健全な政権選択選挙は困難、この障害をいかに取り除いていくか」と提起、パブリックの輿論(世論とは区別されるヨロン)の力で、健全な政権選択選挙へと永田町を否応なく「迫(せ)り出そう」と、行動指針を提起した。
それから二年、ようやく選挙での国民の一票で政権交代をなしとげ、主権者運動も新たなステージへと踏み出した。ここでの問題設定を共有することが、第六回大会の第一の目的である。

鳩山政権は、「本当の国民主権の実現」「内容のともなった地域主権」を柱として、統治システムと政治過程の「革命的」ともいえる転換に、矢継ぎ早に取り組んでいる。新しいゲームが始まったことは間違いない。しかし何の主体的準備もないまま、新たなステージに突入したがゆえに、目先、足元での混乱、迷走は避けられない。これを(政権交代さえできない)閉塞による混迷と同一視してはならない。
「一歩前進した」がゆえの迷走に、どう向き合うべきか、どう向き合ってはならないのか。どう向き合えば、「参加する政治」の主体性が鍛えられるのか。そのためのヒント、気づきが、さまざまな形で示された。

記念シンポジウム第一部では「政権交代のダイナミズムと日本外交活性化の課題」をテーマに、中西寛・京都大学教授、李鍾元・立教大学教授、前田武志・参院議員によるパネルディスカッション。第二部では「まかせる政治から参加する政治へ 市民自治の深化を」をテーマに、福嶋浩彦・中央学院大学教授、中塚一宏・衆院議員、堀添健・川崎市議、隠塚功・京都市議、望月良男・有田市長、石川良一・稲城市長によるパネルディスカッションを展開。

集約では戸田代表から、「陳情と投票以外の参加を知らない」有権者から、主権者として(選挙を軽視したり、やったことさえないのに陳情をバカにしたりせず)、マニフェストを媒介に「バッジ組」を検証し、参加していくすべを、多様に創発していく方向性が示された。

続いて行われた新年会では、参院選、来年の統一地方選などを視野にいれつつ、政権交代の定着と主権者運動の深化について、各地の活動が報告され、また交歓が繰り広げられた。

 

第六回大会基調
六回大会基調を行動指針とするために

2009/1〜2009/12の《日記》はこちら
2008/1〜2008/12の《日記》はこちら
2006/12〜2007/12の《日記》はこちら
2006/1〜2006/11の《日記》はこちら
2005/1〜2005/12の《日記》はこちら
2004/5〜2004/12の《日記》はこちら
2003/9〜2004/4の《日記》はこちら
2003/2〜2003/9の《日記》はこちら
2002/7〜2003/1の《日記》はこちら
2001/11〜2002/5の《日記》はこちら